月次祭にて奏上いたしました祝詞の全文を公開いたします。
今月の祝詞は、私なりの”平和の祈り”を祝詞に込めました。
激動の昭和とは裏腹に、一度の戦争もなく平和に過ぎ去った平成の御代。しかしながら少し外国に目を向けると、絶えずに戦争が行われてきました。
世の常とも言わんばかりに無くなることがない戦争の裏では、数えきれない世界中の人たちの平和の祈りがあります。どんな状況下にあったとしても、祈りのその瞬間だけは何もかも忘れて、一心に神様に願いを届けたい。せめてその祈り間だけでも、心に平穏を取り戻し、何にも邪魔されることなく祈らせてほしい。そんな願いを込めました。
その願いを表すために、歴代の天皇陛下の御歌を引用、または参考にしています。
明治天皇 梓弓八洲のほかも波風の 静かなる世をわが祈るかな
四方の海みな兄弟と思ふ世に など波風の立ち騒ぐらん
あさみどり澄み渡りたる大空の 広きを己が心ともがな
国民の上やすかれと思ふ間は 暑さもしばし忘られにけり
大正天皇 咲きにほふ花の下道行くほどに 馬にも鞭を打つな諸人
昭和天皇 差し昇る朝日の光隔てなく 世を照らさむぞわが願いなる
また今月も8月に咲く花や伝統色を散りばめています。
中でも”黄櫨”、”黄丹”という色はそれぞれ天皇と皇太子のみが着ることを許されている衣の色です。最近では、令和の即位礼正殿の儀にて陛下がお召しになられた黄櫨染御袍がこれに当たります。
夏真っ盛りの今月も天児屋根命様の御加護のもと、皆様が平穏な日々を送られますように。
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