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卯月 月次祭祝詞


今月の月次祭に奏上しました祝詞の内容を公開いたします。


 今月の祝詞は、桜も散り、春も終わりを迎えようとしているこの晩春に、大神様のお陰でまた今年も色鮮やかな春を楽しませていただけたことに感謝を申し上げ、さらにこれから夏に向けて、緑が深くなる木々や草花の生命力を受け、自らの魂を奮わせられるように今後ともお守りくださいますように、との願いを込めた内容となっています。


以下、祝詞作成に引用しました和歌をご紹介いたします。


“散る花の忘れ形見の峰の雲 そをだに残せ春の山風” - 藤原良平

(散ってしまった花の忘れ形見である、峰にかかっている雲だけは残しておいてくれ春の山風よ)


“桜花散りぬる風のなごりには 水なき空に波ぞ立ちける” - 紀貫之

(風で桜の花が散ってしまった名残には、水のない空に波が立っているようだなあ)


“春ごとに花のさかりはありなめど あひ見むことは命なりけり” - 詠み人知らず

(春のたびに花の盛りはあって当たり前だが、それにしても、その年その年の花と逢うことは、命あってのものだなあ。)


 花が散ってしまった後の、切ない気持ちを歌った和歌を中心に選びました。当時の人たちが、こんなにも情緒豊かに春の終わりを惜しんで歌にしていたことを知り、改めて日本人の自然を感じる感性に感銘を受けました。


それでは今月もよろしくお願い申し上げます。


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